過敏性腸症候群

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便秘や下痢などが数ヵ月以上続くお悩みはありませんか?その悩み、過敏性腸症候群かもしれません。

過敏性腸症候群の特徴は、便秘と下痢を繰り返す症状が3ヶ月以上続いていること、そして、他の検査で異常所見がみられないことです。

過敏性腸症候群の原因

お腹の痛みとともに、便秘や下痢などが数ヵ月以上続くお悩みはありませんか。その悩みは、過敏性腸症候群(IBS)かもしれません。

過敏性腸症候群の特徴は、便秘と下痢を繰り返す症状が3ヶ月以上続いていること、そして、内視鏡など他の検査で異常所見がみられないことです。

過敏性腸症候群の診断基準

過敏性腸症候群の診断には、ローマⅣを基準とします。

ローマⅣ診断基準

最近3ヶ月間、月に4日以上腹痛が繰り返し起こり、次の項目の2つ以上があること。

  1. 排便と症状が関連する
  2. 排便頻度の変化を伴う
  3. 便性状の変化を伴う

期間としては6ヶ月以上前から症状があり、最近3ヶ月間は上記基準をみたす。

※大腸に腫瘍や炎症などの病気がないこと

ローマⅣ:便の性状と頻度による分類

便秘型:けいれん性便秘

便秘型は腹痛を伴い、ウサギのフンのようなコロコロした便がポタンと落ちて水に浮かびます。

下痢型:神経性下痢

下痢型は激しい腹痛の後、粘液性の下痢便が出ます。
朝起きてすぐ、朝食後、出かける前、電車の中、到着後など、便意をもよおす回数が多いのが特徴です。

混合型:交代性便通異常

以前は、過敏性腸症候群の特徴として便器と下痢を繰り返すことにありました。まさに混合型が典型的な例となります。

混合型は下痢と便秘を繰り返します。 便通の異常以外に食欲不振や腹部膨満感、吐き気、おなら、頭痛などを伴う場合もあります。

過敏性腸症候群の合併症

過敏性腸症候群で、注意すべき点は、合併症を引き起こしたり、症状が長期継続し、中には症状の種類が変化することがあることです。

一部報告例では、下痢型の患者さんの場合、12年後も下痢型のままの人は20%、15%の人は混合型に変化、35%の人は症状がなくなったとの報告があります(便秘型になった人はいませんでした)。
※日本消化器病学会ガイドライン

過敏性腸症候群の治療

川崎市の過敏性腸症候群専門外来

過敏性腸症候群でお悩みの方は、すでに様々な治療をしてきたかもしれませんが、しっかりと治すには、まず自力で体を正常化する必要があります。いつまでも薬だけの治療ではなかなか症状が安定しません。

その点、鍼灸治療は、今感じている痛みや便通異常を和らげ、異常をきたす元となるストレスの影響を受けた自律神経の乱れを整えやすい治療法です。

鍼灸治療の良いところは、過敏性腸症候群の治療でよく使用されるセロトニン拮抗薬や抗うつ剤などの薬物にみられる副作用がないことです。

また、過敏性腸症候群に対する鍼灸治療の効果は、世界中の国々でIBS患者を対象に鍼灸治療の臨床研究が行われ、その結果が論文として報告されています。

下痢型過敏性腸症候群患者における脳腸機能に対する電気鍼灸治療の比較:ランダム化対照試験

下痢型IBS患者62人に対して、天枢・上巨虚に鍼通電(2Hz 30分)あるいは温灸を6回/週で4週間行った(計24回)。

鍼通電群では、腹痛、腹部膨満感が改善したが、排便切迫感、排便回数(約5/週→約4/週)、便の性状は改善されなかった。

一方、温灸群では、腹痛、腹部膨満感、排便回数(約5/週→約2/週)、排便切迫感、便の性状(ブリストルスケール;約6.4→約4.5)が改善した。

また、不安感、抑鬱感が治療直後から3ヵ月後にわたって改善した。さらにS状結腸のセロトニン(5-HT)が健常者と比べて下痢型IBS患者で増加していたが、鍼通電、温灸により減少した(特に温灸で減少した)。

便秘優勢型過敏性腸症候群患者における脳腸機能に対する電気鍼治療と温灸の比較:ランダム化対照試験

便秘型IBS患者63人に対して、天枢・上巨虚に鍼通電(2Hz 30分)あるいは温灸を6回/週で4週間行った(計24回)。

鍼通電群では、腹痛、腹部膨満感、排便回数(約2/週→約5/週)、排便困難感、便の性状(ブリストルスケール;約1.5→約3.3)が改善した。

また、不安感、抑鬱感が治療直後から3ヵ月後にわたって改善した。さらに直腸をバルーンで刺激した時の排便切迫感や痛みも改善した(温灸より効果があった)。

MRIで直腸をバルーンで刺激した時の脳の神経活動をみると、前帯状皮質、前頭前皮質などの神経活動が活性化したが、鍼通電治療後には活性が低下した。

下痢を伴う過敏性腸症候群における灸誘発性鎮痛に関与する脳領域: 機能的磁気共鳴画像研究

下痢型IBS患者80人に対して、中脘、気海、天枢への灸治療を3回/週で2週間行った。

灸治療はIBS患者の症状、QOLを改善した。また、灸治療はバルーン伸展による直腸の痛みを軽減させた。さらに灸治療により直腸伸展刺激による脳の神経活動の興奮が消失した。

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